リーダーモードとは?その魅力と活用法を解説
2024.08.11
2025.01.16
要約:RFIDリーダーモードは、通信速度や干渉耐性を最適化する上で重要な要素です。本記事では変調方式の概要やImpinj社独自のAutoSet機能を含む様々なリーダーモードを紹介し、環境に合わせた最適化のポイントを解説します。
リーダーモードが重要な理由
リーダーモードとは、RFIDリーダーとタグ間の無線データ伝送方式を設定する仕組みのことです。通信速度や干渉耐性を最適化するために、変調方式やエンコード方式を適切に選択する必要があります。
変調方式が高度になるほど干渉耐性が向上しますが、一方で通信速度は低下しやすいため、使用する環境に合わせたバランス調整が大切です。
変調方式と読取性能の関係
変調方式(Millerの値など)はビットごとの変調回数を示します。たとえばMiller8は1ビットあたりの変調数が多く、通信速度は落ちますが干渉耐性が向上します。逆にFM0は最速ですが、干渉には弱くなります。
ノート:Millerは各ビットのエンコードに使用する変調数を表し、高いほど干渉耐性は強まりますが、送信に時間がかかります。
Speedway RAIN RFIDの主要リーダーモード
Impinj Speedwayシリーズでは、以下のようなリーダーモードが用意されています。
モード | 名称 | タイプ | エンコーディング | 特長 |
---|---|---|---|---|
0 | Max Throughput | 標準 | FM0 | 最大のデータレートを実現。ただし干渉に弱い。 |
1 | Hybrid | 標準 | Miller2 | FM0より干渉耐性が高い。 |
2 | Dense Reader M4 | 標準 | Miller4 | 読取性能と干渉耐性のバランスに優れる。 |
3 | Dense Reader M8 | 標準 | Miller8 | 標準モードの中で最も干渉に強い。 |
4 | Max Miller | 標準 | Miller4 | 複数リーダーが存在する環境でも高い読取率を維持。 |
5 | Dense Reader M4 Two | 標準 | Miller4 | 干渉耐性と高速フォワードリンクを両立。 |
1000 | AutoSet Dense Reader | Impinj独自 | 多種 |
RF環境を分析してリーダーモードを自動調整。 特許取得済み。 |
1002 | AutoSet DenseReader DeepScan | Impinj独自 | 多種 | 高速モードとDRMの組合せでユニークタグ読取数を最大化。 |
1003 | AutoSet Static Fast | Impinj独自 | 多種 |
良好なRF環境用に最適化し、高速モードのみを組合せ。 ある程度の干渉を許容しつつ高い読取率を実現。 |
1004 | AutoSet Static Dense Reader | Impinj独自 | 多種 |
厳しいRF環境に合わせてDRMのみを組合せ。 干渉を極力抑えたい環境で有効。 |
1005 | Impinj内部使用 | Impinj独自 | 多種 | 一般的には使用しない。 |
注意点:
- すべてのリーダーモデル・地域で全モードが利用できるわけではありません。
- データレートと干渉耐性はトレードオフの関係にあります。
モード選択のポイント
AutoSet Static(1002)はImpinjリーダーやゲートウェイのデフォルトモードとなっており、多くの場合これで十分です。
より高いスループットが必要な場合は、AutoSet Static Fast、AutoSet Static DRM、MaxMiller、DRM8、DRM4、Hybridの順で試してみましょう。最終的にMaxThroughputは、無響室など干渉の少ない特殊環境下でしか推奨されません。
最適化のためのヒント
- サイトサーベイを行い、RFスペクトルのノイズや干渉を分析する。
- 実環境で複数のリーダーモードをテストし、読取率とユニークタグ数を比較する。
- 複数リーダーを同時運用する場合は、干渉耐性を優先させる。
シェン・ヒーローでは、豊富な経験に基づき最適なリーダー選定やアンテナ構成をご提案いたします。
現場の環境やニーズに合わせ、最高のパフォーマンスを実現するRFIDソリューションをぜひお任せください。
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