様々な省電力オプションがRFIDリーダーのバッテリー寿命と消費電力に与える影響

2019/11/10
2024/08/11

要約:バッテリ駆動型RFIDリーダーの効率的運用には、消費電力を抑える工夫が不可欠です。この記事では、RF電力レベル調整、省電力モード、デューティーサイクルを中心とした3つの戦略を解説し、Nordic ID STIXリーダーを例に最適な省電力化の方法を示します。

バッテリーとRFIDリーダー

RFIDリーダーの省電力が重要な理由

バッテリ駆動型のUHF RFIDリーダーは、高い電波出力を使用すると消費電力が増大し、バッテリーの持続時間が短くなります。そこで、本記事ではNordic ID社製USB RFIDリーダーSTIXを用いて検証した結果をもとに、効果的な省電力の方法を3つ紹介します。これらを組み合わせることで、消費電力の最適化と動作効率の両立が期待できます。

Nordic ID STIX RFIDリーダー

以下では、RF電力レベルの調整省電力モードデューティーサイクルの3つの戦略を取り上げ、それぞれのメリットとデメリットを解説します。

  • RF電力レベルの調整:電波出力を下げて消費電力を削減
  • 省電力モード:タグがないときに自動的に読取を停止
  • デューティーサイクル:オフタイムを設定し平均消費電力を削減

1. RF電力レベルの調整

リーダーの電波出力レベルを下げることで、消費電力を直接的に抑えられます。ただし、出力を大幅に下げるほど読取範囲が狭くなり、結果的に省電力効果も限定的になる点には注意が必要です。

メリット: 読取範囲が問題とならない場面では簡単に電力を節約できる

デメリット: 電波出力を抑えすぎると読取範囲が狭くなり、省電力効果が思ったほど得られない

RF電力レベルと消費電力のグラフ
図1: 様々なRF電力レベルでの消費電力

2. 省電力モード

省電力モードを使用すると、リーダーのフィールドにタグが存在しない場合に読取を一時停止し、消費電力を大幅に減らせます。タグを検知したらすぐに通常動作に戻るため、読取範囲を犠牲にする必要はありません。

メリット: 読取範囲や出力を下げずに効果的な省電力が可能

デメリット: タグがない場合にのみ電力削減が発生するため、常にタグがある環境下では効果が限定的

省電力モードと消費電力のグラフ
図2: 省電力モードでの消費電力

3. デューティーサイクルの適用

ホストアプリケーションやリーダーのファームウェアを活用し、RFオフ時間パラメータを設定すると、送信を一時的に停止して平均消費電力を下げられます。最大出力は維持されるため、最大読取範囲を損なわずに省電力を実現できますが、読取速度が若干低下する可能性があります。

メリット: タグがフィールド内にあっても消費電力を削減でき、最大読取範囲は確保できる

デメリット: 読取速度が低下するため、素早い読み取りが必要な場面では注意が必要

異なるRFオフタイムパラメータによる電力消費のグラフ
図3: 異なるRFオフタイム設定時の電力消費比較
RFオフ時間パラメータが読取速度に及ぼす影響のグラフ
図4: RFオフ時間パラメータの読取速度への影響

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省電力性に優れたUSB接続型のUHF RFIDリーダー。組込みシステムやモバイル運用に最適です。

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