RFIDのケーブル、コネクタ、アダプタ選択ガイド

2020/05/01
2025/1/15

要約:RFIDシステムを構築する際に不可欠な同軸ケーブルとコネクタの基本、極性の違い、アダプタの使い方を解説します。ケーブル長によるエネルギー損失対策やコネクタ選択のポイントを押さえ、最適な読取性能を実現するノウハウをまとめました。

RFIDケーブルイメージ

同軸ケーブルとコネクタの役割

RFIDリーダーとアンテナを接続する同軸ケーブルは、高周波エネルギーを効率的に伝達し、読取範囲や速度に大きく影響を及ぼします。ケーブルはアンテナハブやマルチプレクサといった補助デバイスを繋ぐ際にも利用されます。
コネクタはケーブル両端に取り付けられ、RFIDリーダーとアンテナを正しく接続するために重要な要素です。適切なケーブル・コネクタ選びは、RFIDシステムの性能を最大化する鍵となります。

ケーブル選択のポイント

  • インピーダンスやVSWR(電圧定在波比)の確認
  • 減衰量と電力容量の考慮
  • 動作電圧やシールド効果、耐環境性
  • 屈曲性やケーブルの強度

これらの要素を把握することで、目的の読取範囲やノイズ対策を実現できます。ケーブル長が長いほど信号損失が大きくなるため、長距離接続の場合はケーブルグレードを慎重に選択することが大切です。

ケーブル長が与える影響

ケーブルが長いほど、エネルギー損失(ケーブルロス)は増加します。完全に損失をゼロにすることはできないため、必要な読取性能を確保できる範囲でケーブル長を設定することがポイントです。

コネクタの種類と選択

コネクタは、ケーブルとRFIDリーダー・アンテナを物理的かつ電気的に接続する部品です。リーダーやアンテナの仕様に合わせて正しいコネクタを選択しないと、接続不良や読取性能の低下につながります。

代表的なコネクタタイプ

  • RP-TNCコネクタ: 逆極性(Reverse Polarity)のTNC(Threaded Neill–Concelman)タイプ。UHF RFIDでよく使用されるコネクタの一つで、TNCコネクタの派生型です。。
  • SMAコネクタ: 小型で広く普及している。Sub Miniature type Aの略。
  • TYPE-Nコネクタ: RP-TNCの約2倍サイズで耐久性に優れる。UHF RFIDシステムで使用頻度が高い。Type-NはType-Navyの略です。
  • TNCコネクタ: RP-TNCではない通常極性バージョン。
  • RP-SMAコネクタ: SMAコネクタの派生型で、逆極性タイプ。
  • BNCコネクタ: BNC(Bayonet Neill–Concelman) バヨネット式で接続が簡易。ただし、時間の経過とともに緩む可能性があります。サイズはTNCコネクタに似ています。UHF帯RFIDではあまり使われませんが、他分野で広く利用。

オス・メスとねじの向き

コネクタには、外側にねじ山をもつメス(FEMALE / JACK)型と内側にねじ山をもつオス(MALE / PLUG)型があります。中心ピンの有無と極性の組み合わせによって適合が決まるため、事前に機器の仕様をチェックしましょう。

順極性と逆極性(センターピン)の解説

同軸コネクタの中心ピンは、RFエネルギーを伝達するための重要なコンポーネントであり、コネクタのタイプと互換性を識別するための要素です。コネクタの中心ピンには、通常の極性と逆極性の2つのバリエーションが存在します。

順極性と逆極性(センターピン)

通常の極性: TNC、SMA、N-TYPEなどでは、センターピンはオスコネクタにあります。
逆極性: RP-TNC、RP-SMAではセンターピンはメスコネクタ側に配置されます。
この違いを理解していないと、物理的に接続できない場合や信号不良を起こす原因になるので注意が必要です。

接続ガイドと変換アダプタの使用

同軸コネクタを正しく接続するための基本的なガイドラインと、変換アダプタを使用して異なるタイプのコネクタを結合する方法について説明します。

基本的な接続ガイドライン

  1. 同じタイプのコネクタを接続します。例:TNCコネクタとTNC、SMAコネクタとSMA。
  2. 同じ極性のコネクタを接続します。例:RP-SMAコネクタとRP-SMA、RP-TNCコネクタとRP-TNC。
  3. 反対の性別/スレッドタイプのコネクタを接続します。例:SMAオスコネクタとSMAメス、RP-TNCオスコネクタとRP-TNCメス。

変換アダプタの使用

変換アダプタを用いることで、互換性のないコネクタ同士を接続できます。下記のようなケースで活用されることが多いです。

  • RFIDリーダーやアンテナのコネクタ形状が手持ちのケーブルと合わない場合
  • テスト段階で複数のアンテナ・リーダーを試験する際に、コストや時間を節約したい場合

ただし、アダプタを追加すると接点が増え、わずかながら信号損失のリスクが高まります。実際の使用場所などの重要な場面では、できるだけ直接接続できるケーブルを選ぶことが望ましいです。

ケーブルやコネクタの選定は、読取精度やシステムの安定性に直結します。現場の環境や運用条件を踏まえたうえで、最適な組み合わせを選ぶことが大切です。
シェン・ヒーローでは、RFIDリーダーやシステムの仕様に合わせて最適なケーブルとコネクタのソリューションをご提案いたします。幅広いラインナップで、お客様の課題を解決します。
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