RFIDリーダー選びのエキスパートガイド

2020/01/25
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RFIDリーダー選びのエキスパートガイド

RFIDリーダー

RFIDリーダーライターは、データの読み取りと書き込みを行うための強力なツールです(一般的にRFIDリーダーと呼ばれますが書き込みも可能です)。国内メーカーから海外メーカーと様々な種類があります。リーダーの特長を理解し、使用するアプリケーションに最適なものを選択することが重要です。スペック上同じように見えても、様々な観点から多くの異なる点があります。

1. RFIDリーダーの種類と周波数帯

RFIDリーダーは、RFIDアンテナやRFIDタグと連携して、各国の電波法に準拠した周波数帯で動作します。これにより、グローバルな対応が可能となります。

例:
- 日本(TELEC):916.7~923.5MHz
- 北米(FCC):902~928 MHz
- 欧州(ETSI):865.6~867.6MHz, 916.1~919.9MHz

国際的な展開を考える場合、各国の電波法に適合したRFIDリーダーを選択することが重要です。

モバイルRFIDリーダー

ハンディターミナル型RFIDリーダーは、モバイルコンピュータとRFIDリーダーが一体となったデバイスです。高速な読み取り性能と多様な機能を提供します。

ハンディターミナル型RFIDリーダー

セパレート型/ジャケット型リーダー:Bluetoothを介してスマートデバイスに接続し、カスタムアプリケーションを使用して動作します。

セパレート型RFIDリーダージャケット型RFIDリーダー

固定型RFIDリーダー

卓上型リーダー:小規模な作業スペースでの使用に最適です。

卓上型RFIDリーダー

固定型リーダー:大量のデータを迅速に処理する必要がある場合に利用されます。

大型固定型RFIDリーダー 高性能固定型RFIDリーダー

2. 日本の電波法に基づくRFIDリーダーのカテゴリ

特定小電力タイプ

特定小電力タイプのRFIDリーダーは、EIRP(等価等方輻射電力)が500mW以下(27dBm以下)で、アンテナ利得が3dBi以下となっています。
等価等方輻射電力が絶対利得3dBi の送信空中線に250mW の空中線電力を加えたときの値以下となる場合は、その低下分を送信空中線の利得で補うことができます。

構内無線局タイプ:免許局(LBTなし)、登録局(LBTあり)、移動局

構内無線局タイプのRFIDリーダーは、EIRPが4W以下(36dBm以下)で、アンテナ利得が6dBi以下です。
等価等方輻射電力が絶対利得6dBiの送信空中線に1Wの空中線電力を加えたときの値以下となる場合は、その低下分を送信空中線の利得で補うことができます。

ACアダプタ:固定型や卓上型のRFIDリーダーの電源供給には、ACアダプタを使用するのが一般的です。これは、コンセントから電源アダプタを介してリーダーに電力を供給する方法です。

PoE(Power over Ethernet):イーサネットケーブルを使用してRFIDリーダーに電力を供給し、同時にデータの送受信を行うPoEは、設置場所にコンセントがなくても利用できる利点があります。

車載電源:トラックやフォークリフトなどの車両にRFIDリーダーを設置する場合は、車載電源から電力を供給する車載専用のRFIDリーダーを検討する必要があります。これにより、広いエリアを走行しながらRFIDタグを効率的に読み取ることができます。フォークリフトが拾い上げたパレットを読み取るなどのソリューションがあります。

バッテリ:バッテリを使用するRFIDリーダーは、コードレスで移動が容易であり、場所に制約されずに使用できます。ただし、連続使用の後は充電が必要です。

4. RFIDリーダーのインターフェースオプション

WLAN(Wireless Local Area Network):WLANを使用するRFIDリーダーは、コードレスで柔軟な接続オプションを提供します。これにより、プリンターやスマートデバイスなど、他のデバイスとのワイヤレス接続が可能です。WLANアクセスポイントとして動作するリーダーもあり、他のリーダーとルーターなしで接続できます。

Bluetooth:Bluetoothを搭載したRFIDリーダーは、ホストコンピューターやスマートデバイスとワイヤレスで接続できます。これは、携帯電話やタブレットなどの移動性が重要なアプリケーションに適しています。

有線LAN(Local Area Network):有線LANを使用するRFIDリーダーは、ネットワークを介して他のデバイスやプログラムと通信できます。これは、安定した接続が必要な場合に適しています。

シリアル接続:シリアルポートを使用するRFIDリーダーは、9ピンシリアルケーブルまたはUSBケーブルを使用してホストコンピューターに直接接続します。これは、シンプルなアプリケーションやデータ転送に適しています。

5. RFIDリーダーのアンテナポートの種類

RFIDリーダーは、1ポート、2ポート、4ポート、8ポート、16ポートなど、さまざまな数のアンテナポートを持つものがあります。また、マルチプレクサを使用することで、最大1024個のアンテナを接続することが可能なモデルもあります。

6. RFIDリーダーのGPIO(汎用入出力)機能

GPIOとは:RFIDリーダーのGPIO(General Purpose Input/Output)は、外部デバイスとのインタラクションを可能にします。これは、モーションセンサーやLEDライトなどの補助デバイスを制御するために使用されます。GPIOは、リーダーがタグを読み取ったときに特定のアクションをトリガーするのに役立ちます。

電圧の考慮:GPIOを使用する際には、補助デバイスの動作に必要な電圧を考慮する必要があります。リーダーが供給する電圧が不足する場合は、追加の電源を使用する必要があります。

入力:GPIOの入力機能は、外部デバイスからリーダーへの信号を受信します。これにより、RFIDリーダーは外部デバイスの状態に応じて特定のアクションを実行することができます。

出力:GPIOの出力機能は、リーダーから外部デバイスへの信号を送信します。これは、RFIDリーダーがタグを読み取ったときに、外部デバイス(例:LEDライト)を制御するために使用されます。

7. RFIDリーダーの耐環境性:屋内仕様と屋外仕様

IP保護等級とは:RFIDリーダーは、水やほこりから保護される必要があります。これは、IP(Ingress Protection)保護等級によって評価されます。IP保護等級は、IEC規格60529およびEN 60529に基づいて、機器が埃や水にどれだけ耐えられるかを示します。

IP保護等級の構成:IP保護等級は2つの数字で表されます。第1の数字は固形物(例:ほこり)に対する保護を、第2の数字は水に対する保護を示します。

人体及び固形物に対する保護:
第一記号説明
0 = 無保護
1 = 直径50mmより大きい固形物に対する保護
2 = 直径12mmより大きい固形物に対する保護
3 = 直径2.5mmより大きい固形物に対する保護
4 = 直径1.0mmより大きい固形物に対する保護
5 = 塵挨の侵入の制限 (正常な動作や安全性を阻害するような粉塵の侵入に対する保護)
6 = 防塵 (塵挨に対する完全な保護)

水の侵入に対する保護

第二記号説明
0 =無保護
1 =鉛直に滴下する水に対する保護
2 =鉛直から 15°以内から滴下する水に対する保護
3 =鉛直から 60°以内からの散水に対する保護
4 =任意の方向からの散水に対する保護
5 =任意の方向からの水の噴流に対する保護
6 =任意の方向からの水の強い噴流に対する保護
7 =一時的な水没に対する保護
8 =加圧条件下での長時間の水没に対する保護

例として:
IP54 =塵挨の侵入の制限と任意の方向からの散水に対する保護
IP65 =防塵 (塵挨に対する完全な保護)と任意の方向からの水の噴流に対する保護

屋外、屋内、および極端な温度状況のアプリケーションでは、高いIP保護等級および/または広い動作温度範囲を持つリーダーが必要になります。

8. RFIDリーダーの価格とコスト効率

RFIDリーダーの価格は、タイプと機能によって異なります。一般的な価格帯は以下の通りです:

  • モバイルタイプ:数万円から30万円程度。
  • 卓上型や固定型:数万円から25万円程度。
  • ビームアレイタイプ:20万円から50万円程度。

中小企業の場合、少額減価償却資産の取得価額に関する損金算入の特例を利用することも検討できます。

9. RFIDリーダーの追加機能とオプション

バーコードリーダー:RFIDリーダーに1次元バーコードリーダーまたは2次元イメージャーを組み合わせることで、RFIDタグが使用されていない場合でも従来のバーコードを読み取ることができます。

GPS機能:GPSを搭載したモバイルRFIDリーダーは、広範囲での展開に適しています。読み取ったタグにGPS座標を関連付けることで、アイテムの位置情報を追跡できます。

カメラ:カメラ機能を持つRFIDリーダーは、タグの読み取りデータと写真を組み合わせて使用する場合に便利です。これは、検査記録などで使用されます。

電話機能:電話機能を備えたRFIDリーダーは、Wi-Fiやその他の接続手段が利用できないリモートエリアでの使用に適しています。

10. オンボードコンピュータとOS搭載のRFIDリーダー

スマートRFIDリーダーにはプロセッサが搭載されており、リーダー自体でアプリケーションを実行することができます。これはオンボードコンピュータとも呼ばれます。メモリ容量は、アプリケーション開発において重要な要素です。また、タグの読み取りデータを保存してバッファリングする機能は、ネットワーク接続が利用できない場合に特に有用です。データを保存しておくことで、後でネットワークやホストコンピュータにアップロードすることができます。

11. RFIDリーダーの開発環境:SDKとAPI

API(アプリケーションプログラムインターフェース)は、RFIDリーダーを購入する前に、特にソフトウェア開発の段階で考慮すべき重要な要素です。APIはハードウェアとソフトウェア間の通信をシームレスにし、効率的な開発をサポートします。各メーカーは独自のAPIを提供しているため、開発環境に適したAPIを選ぶことが重要です。多くのメーカーはAPIをウェブサイトで公開しており、事前にダウンロードして調査することができます。

シェン・ヒーローは、アンテナやシステムとともに、お客様に最適なRFIDリーダーをご提案します。ソフトウェア開発やハードウェア開発において豊富な実績を持っています。

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