UHF帯RFIDアンテナ:使用者の影響による読取パターンの変化
要約:本記事ではUHF帯RFIDアンテナの主要3タイプ(円偏波・無指向性・指向性)それぞれが、使用者による電波干渉をどのように受けるか、その読取パターンと最適化手法を解説します。RFID技術の専門家であるシェン・ヒーローが提供するソリューションを通じて、より効率的な在庫管理とデータ収集を可能にするヒントをご紹介します。
UHF帯RFIDアンテナの読取パターンと使用者の影響を最適化する方法
UHF帯RFIDアンテナは、アンテナが発する電波パターンによって読取範囲や角度が大きく左右されます。これらのパターンは周囲の環境要因だけでなく、実際に運用を行う使用者の人体による電波干渉の影響も受けます。以下では、3つの主要なアンテナタイプ(円偏波の指向性、無指向性、指向性)の特徴と注意点を見ながら、使用者の影響を最小化しつつ最適な読取を実現するためのポイントを解説します。
円偏波の指向性UHF帯RFIDアンテナ
円偏波の指向性アンテナは、設定した方向にしっかりと電波を飛ばす反面、使用者の背後側にあるタグの読取りが阻害されやすいという特徴があります。これは人体に含まれる水分が電波を減衰させるためで、読取範囲への影響が生じます。
一方で、読取エリアを比較的限定できるため、店頭などで不要な範囲のタグを拾いにくいというメリットがあります。読取距離はプログラミングや設定である程度調整可能ですが、人体干渉自体は一定程度発生します。
無指向性UHF帯RFIDアンテナ
無指向性アンテナはあらゆる方向に電波を均一に放射するため、タグの向きによる影響が少ないのが特徴です。クロスした2つのダイポールアンテナで構成されている場合、リーダーの傾きに左右されずタグを検知しやすい利点があります。
ただし、在庫チェックなどでターゲットに接近しすぎると読取範囲が短くなる場合もあり、最適な読取距離を確保するためには使用者自身が少し後方へ下がるなどの工夫が必要です。また、このタイプでも人体が電波を遮ることによる背面側の読取不良は発生するため、背後のタグを確実に読みたい場合にはアンテナの持ち方や位置を調整する必要があります。
指向性UHF帯RFIDアンテナ
指向性アンテナは、正面方向へ強いビームを放射することで遠距離のタグを確実に読むことができる反面、電波を当てたい方向をしっかり意識する必要があります。クロスした2つのダイポールアンテナで構成されている場合、タグの向きに関係なく読み取りやすさをある程度維持できますが、使用者の身体が背後の電波を遮ってしまう点は同様です。
また、最良の読取性能を得るためには、無指向性アンテナの場合と同様に対象物に対して近付きすぎず、適度な距離をとることが推奨されます。衣料品ラックなどに密着した状態では電波が拡散しにくいため、2歩ほど下がった位置から読取を行うと精度が向上します。
主要アンテナタイプの比較表
アンテナタイプ | 特 徴 | 注意点 |
---|---|---|
円偏波の指向性 | 読取エリアを制限しやすく、不要なタグを拾いにくい | 背後のタグが読みにくい 人体による遮蔽が発生 |
無指向性 | 全方向へ均一に電波を放射 タグの向きに左右されにくい |
接近しすぎると読取範囲が縮小 背後の電波遮蔽対策が必要 |
指向性 | 狙った方向へ強力に電波を放射 遠距離読取に適する |
電波が集中する方向を意識する必要 人体干渉で背面側は読みにくい |
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